考えて生きるということ

20代のサラリーマンが人生に悩んでいます

自分が凡人であることに気付いたら

20代を後半にしてやっと気づくことができました。

「自分は凡人なのだ」と。

 

FacebookTwitterに上がる同世代の成功者たちの「満面の笑み」と「裕福な自分」のアピール。

それを素直に受け止められない自分。

 

「これまで上手くやってきた、これまで頑張ってきた」

そういう自負があったからこそ、今の自分の不甲斐なさに時より負けてしまいそうになります。

 

「私は凡人なのだ」と気付いてから、この先は何をすれば良いのか。

何ができるのか、そういうシンプルなことがわからなくなってしまいました。

thinking

それでも前に進むしかない

これからの生き方を考えるために、この3ヶ月ぐらいとにかくいろいろな本を読むことにしました。

その中でのおすすめを幾つか紹介します。

 

 堀江貴文氏の多動力

多動力 (NewsPicks Book)

多動力 (NewsPicks Book)

 

橘玲氏の幸福の「資本」論

ひろゆき氏の無敵の思考

無敵の思考 ――誰でもトクする人になれるコスパ最強のルール21

無敵の思考 ――誰でもトクする人になれるコスパ最強のルール21

 

 ちきりん氏の自分の時間を取り戻そう

自分の時間を取り戻そう―――ゆとりも成功も手に入れられるたった1つの考え方

自分の時間を取り戻そう―――ゆとりも成功も手に入れられるたった1つの考え方

 

 

その他、書ききれないほど読みました。

どのビジネス本も言っていることは1つだけでした。

 

「これからの時代は自分が楽しいと思うことをやらなければいけない」

「楽しくないこと(苦手なこと)に、時間は使っていられないのだ」

と。

 

楽しいこと(得意なこと)のメリットは・・・

①継続できる

②生産性が高まる

③ストレスから開放される

④人から評価されて自尊心が高まる

 

楽しくない事を継続している人と、楽しいことをして個人でアウトプットしてきた人の人生の質に大きな差が生じるというのは、免れません。

Youtubeを見ても、個人のブログを見ても、Instagramを見ても、それははっきりと流れが変わっているのがわかります。

 

突飛な考え方と言われるかもしれないけれど、実際今の社会はそうなっているという実感があるかと思います。

大企業に勤め上げて幸せになれる時代は終わったと言われ続けているけれど、実際に「そうだな」という実感がある。

この実感が大切だと思います。

 

個々人の発信力が高まり、プロダクトを作るフローが会社という形式を取らなくても維持ができる。

一介の大学生がWebを生かして、大手企業に自分の事業をバイアウトできるのが今の時代。

こんな時代がこれまであったのでしょうか。

 

 

そんな発信力が試される時代に凡人だと気付いた僕

で、そんな発信力が試される時代に、30を前にして凡人だと気付かされた僕。

これからどうやって生きていこうか悩んでいるわけです。

けど、やっぱり大切にしたいのは「楽しいと思うこと」や、「他人に凄いね」って言われること。

 

まるで中学生のアイデンティティ探しみたいな話ですが、そこを大切にやっていかないと次に進めないなと思っているのです。

Searching

 

今一度僕の得意な事をまとめると、

①人前で話すこと(プレゼン力)

②人と人とをまとめてプロジェクトを推進すること(リーダー力)

③問題発見能力(分析力)

④自動車を高速で走らせる運転技能(レース資格あり)

バーテンダー顔負けの知識やお酒を作る酒力

 

 

この5つぐらいしかないなって思ってるのです。

これらは実際に実績があるし、資格を持ってたりするので裏付けがあるかなって思ってます。

 

けど、「これだけでは凡人だ」と気付いたのが今の僕。

なかなか自分の才能の無さに気づくのは辛いものがあります。

 

最低でも、自分の得意なことを3つ以上生かせるところで仕事をしたいところ。

この5つを常に胸にしまいながら、もう一度凡人として今日から再スタートです。

 

ドキュメンタリー映画20本を一気に評価

今回はここ1ヶ月ぐらいで見たドキュメンタリーの評価をしていきます。

どんな内容だかわかるように、一言内容メモと評価を先に記載してあります。

評価は面白い順になっています。

面白かった映画を順番に

未来を写した子供たち

内容:1台のカメラでインドの貧困問題を変える

評価:★★★★★

未来を写した子どもたち(特別版) [DVD]

未来を写した子どもたち(特別版) [DVD]

 

隠れた名作と言い切る1作。

アメリカの娼婦街で生まれ育った子供たちの境遇を映し出し、それをたった1台のカメラで救おうとする1人の女性の話。

ドキュメンタリーとして「社会が悪い」「システムが悪い」と批判するのではなく、「今自分たちにできることをやる」という目線で作られた1作です。

極めてミクロな目線で作られつつも、1枚の写真がインドの現状を写し、先進国に波及していく様を当事者達と共に追体験することができます。

「世界はいつでも変えられる」という映画にありがちなテーマを、実際にやってしまい、それを見事にドキュメンタリーに仕立て上げたことに感服です。100点満点。 

 

おいしいコーヒーの真実

内容:先進国と後進国の貿易はフェアじゃない

評価:★★★★★

おいしいコーヒーの真実
 

 コーヒー1杯の値段が330円、生産者に支払われる原価が3円〜9円という恐ろしいほど低い原価で搾取されているというストーリーです。

企業批判という姿勢で描いておらず、「ただ現場を取材して、ありのままを伝える」ということに徹しているからこそ、胸に響くものがあります。

搾取されているエチオピアの労働者が僅かながらのお金で望んだもの、それは「未来の世代への適切な教育」でした。

一方で、先進国の大企業こそ、発展ではなく利潤だけを求め続けている。

そんな社会の不条理を身近なコーヒーというテーマで描ききっています。

最後はフェアトレードという方法で、誰もが後進国に支援を行えるという方法を提示しているのも素晴らしい!

コーヒー好きは見る価値・・・ではなく、義務があると思います。

 

ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~

内容:ファストファッションの裏側のブラック労働

評価:★★★★★

2000年以後に普及したファストファッションの裏側を暴く本作。

ファストファッションがグローバリゼーションと共に急速に普及した理由もわかります。

その裏には、材料費や人件費を削るために後進国の人々を搾取する大企業の姿が・・・!

このロジカルって食品業界でも見れますし、大企業で安いものを提供しているところはほぼ後進国を蹂躙しているというイメージがつきました。

良いものを長く使う。

フェアに商業を行っている企業から物を買う。

そしてミニマルに生きる。

この3つがこれからの時代の生き方であり、消費社会に対するアンチテーゼなのではないかと感じました。

 

シチズンフォー スノーデンの暴露

内容:米国が個人情報を収集し続けているという告発

評価:★★★★★

「米国が個人情報を収集し続けている」という告発を元CIA職員のスノーデン氏が行うという話です。

しかし、その中で政府から命を狙われるというウソのような本当の話。

この映画はドキュメンタリーというか、スリラー映画として見るほうが楽しめると思います。

普通に話しているのに「盗聴されている」と言い出したりする様は一周回って冷静に「この人頭大丈夫かな?」と思ってしまったりもしますが、そこは編集の妙でもの凄く楽しめてしまいます。

エンターテイメントとしては間違いなく一級品。

しかし、 映画を見た後も「この話は本当だったんだろうか。モキュメントじゃないのか」と疑心暗鬼になってしまうのもまた事実。

そこも含めて楽しめるのでいいですけどね!

(モキュメント:ドキュメンタリーの形式を取った作り物のこと)

 

キャピタリズム マネーは踊る

内容:リーマンショックを背景に資本主義の矛盾を暴く

評価:★★★★★

現代資本主義の矛盾を暴くドキュメンタリーの中で、No.1の傑作です。

自由主義、資本主義、アメリカナイズ、このような言葉がもたらす意味と弊害をわかりやすく描いています。

現在の銀行のシステムは貸せば貸すほど、儲かるというシステムであり、たとえ銀行が破綻しても、政界内に潜り込んだ元投資銀行出身者が国家予算を使用して銀行を救済しています。

つまり、銀行はノーリスクでお金を貸し出せて、仮に返済が難しくなっても債務者から土地を取り上げ、補填分は国から補填をしてもらえれば良いという負け無しのシステムです。

国家予算とは国民の税金のことであり、国民から取った医療保障や教育に使われず、銀行救済の費用に宛てられるという悪循環をエンターテイメント性たっぷりで描いています。

こちらを見てから、「インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実」をご覧ください。

 

インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実

内容:経済学知識のオムニバス形式のドキュメンタリー

評価:★★★★★

描いている内容はキャピタリズムと一緒ですが、こちらのほうが深掘りをしており、同時にわかりにくい部分が多い。

アメリカの社会情勢を知ってて、サブプライムローンCDSといった用語がわかる人にはインサイド・ジョブから見てもいいですが、オススメはキャピタリズム→インサイド・ジョブの順番で見ることです。

この2本を見ることで、世界の見方がちょっと変わると思います。必見。

 

マイケル・ムーアの世界侵略のススメ

内容:世界の素晴らしい政治の見本市

評価:★★★★★

 自由主義経済のアメリカと、福祉国家のユーロ諸国でどのような政策の差があるのかを比較した映画。

例えばドイツでは労働時間が35時間でも、中間層が十分な給料をもらっていたり、イタリアは8週間もバカンスがあってもGDPは維持され、多くの国民が豊かに暮らしていたり。

そんな世界中の「まさか?!」をアメリカと比較してそれまで聞かされてきた嘘を暴いていくドキュメンタリー。

アメリカだけじゃなく、世界のカラクリや今後の国のあり方を考えさせてくれます。

日本は出てこないですが、日本人も必見です。日本は福祉国家を目指したほうがいい!

 

スーパーサイズミー

内容:マックを1ヶ月間食べ続けるとどうなるのか実験してみた

評価:★★★★★

スーパーサイズ・ミー [DVD]

スーパーサイズ・ミー [DVD]

 

 マックを1ヶ月間食べ続けるとどうなるのか実験してみた、というドキュメンタリーです。

ファストフードを中心とした高カロリー食がもたらす影響を、自分自身の体を使って実験しています。

結果は実際に見て貰いたいですが、ご想像の通りです(笑)

ただ、要所要所に散りばめられたファストフードがもたらす教育的被害が記憶に残ります。

笑って楽しめて、考えさせる映画の代表格です。必見!

 

華氏911

内容:2001年アメリカ同時多発テロの裏側を暴く

評価:★★★★☆

アメリカの同時多発テロが起きた背景と、アメリカと中東のオイル利権に関係があるという実態を暴いた、あまりにも有名な1作。

ブッシュ家とビンラディン家は実は繋がりがあり、若い頃ブッシュが経営していた企業の出資者がビンラディン家だったり、そもそもイラクはテロに無関係だったという話も作中で検証しています。

世界中で未だに華氏911の内容について議論されていますが、それはドキュメンタリーの金字塔とも言えるからではないでしょうか。

今から15年以上前の出来事がテーマのため★4としましたが、ドキュメンタリーの質としては★5つです。

 

シッコ

内容:アメリカの破綻する医療保険問題

評価:★★★★☆

シッコ(字幕版)

シッコ(字幕版)

 

アメリカの崩壊する医療保障制度を痛烈に批判した映画です。

アメリカには国民皆保険制度がなく、多くの人が民間の医療保険に加入しています。

しかし、この民間保険会社は保険料を払いたくないため、事前に「救急車に乗る事を連絡していないから保険料は払いません」なんて事を言うわけです。

緊急性が高いから救急車なんでしょう!って言いたくなりますね。

日本の医療制度は世界で見ても優秀なので、シッコの中では日本の国民皆保険を羨ましがるような風潮で描いています。

日本が守るべきシステムの一つが国民皆保険だと気づかせてくれる映画です。

 

フード・インク

内容:スーパーに並ぶ食品のルートをたどると、食の安全性がヤバい

評価:★★★★☆

フード・インク (字幕版)
 

 スーパーにある食品を見ると、今は全ての食材にコーンによる糖類が添加されてて、大豆が原材料に混ざっている。

そんなコーンや大豆はどうやって作られているの?

どういう環境で作られているの?

そもそもお肉ってどんな環境で育てられて、どうやって加工されるの?

これらの疑問を明らかにしていくと、遺伝子組み換え食品は一部の大企業が利権を握っていたり、安い賃金で働かされている人が栽培していたり、肉はひどい環境で育てられている鶏だったり・・・と、惨状が映されます。

人間は生きるために食べなければなりませんが、何を食べているのかは知っておいた方が良いと思います。

 

ありあまるごちそう

内容:スーパーに並ぶ食品のルートをたどると、食料生産の現場がヤバい

評価:★★★★☆

 

 上記の「フード・インク」とほぼ同じテーマの作品。

フード・インクが食品の安全について言及しているのとは違い、もう少し労働者やフードロス問題に対してフォーカスをあてています。

先進国で大量に食品が余っているのに、飢えている人もいる。

飲水しかない一方で、その人達が作った食品を先進国の人が食べて、そして捨てている。

そんな切ない現実を再確認させてくれる良作。

フード・インクの方が見やすいですが、心に刺さるのはこちらです。

 

ボーリング・フォー・コロンバイン

内容 :アメリカにおける銃社会批判

評価:★★★☆☆

おなじみ、マイケル・ムーアのアメリカの銃社会批判映画です。

アメリカで起きた少年の銃乱射事件をもとに、アメリカの資本主義を安全という観点から批判しています。

ドキュメンタリーの定番映画の1つですが、日本は銃所持が禁止されていることから、あまり実感がわかなかったというのが本当のところ。「海の向こうの出来事」と感じながらも、最後まで見せる力は、さすがドキュメンタリーの帝王マイケル・ムーア

 

世界を欺く商人たち

内容:商業性によって、科学的な知見が蔑ろにされる

評価:★★★☆☆

内容は大きく分けて2つあり、タバコ業界のような利権主義団体に対する批判と、科学者批判が世界中で起きているという実態を暴いた作品。

まず1つ目に、タバコは誰が見ても害があるのに、政府は企業とズブズブの関係にあるため、一向に影響を認めずにいつまでも販売され続けた背景を描いています。企業は高いコストで政治献金を行ったり、ロビイストを雇ったりして法規制を逃れ続けています。タバコ以外でも難燃性の素材や、食料品などでも同様の事が起こっている事を作中で指摘しています。

2つ目は、上記のような「科学的根拠」が重要視されなくなると、企業は正しいことを述べる科学者を攻撃し始めるという事を描いています。「科学者が言うことが正しいとかは関係ない。自分たちの儲けを阻害するような事を言う人間を排除する」というアメリカの矛盾した資本主義社会を痛烈に批判しています。

所々の内容は面白いのですが、全体通してのストーリー性としてはイマイチ・・・かなと。★3つ。

しかし、科学者に対する攻撃の手法がエグいので、ストーリー後半部分だけは見ごたえあり。 

 

HAPPY ―幸せを探すあなたへ 

内容:幸福感の最先端研究を事例をもとに紹介

評価:★★☆☆☆

1990年代までの心理学研究とは、精神病などのネガティブな研究ばかりでした。

しかし、2000年代以降の心理学関心の中心は幸福感にあり、その研究結果を各国の研究者の結果と、それを実践している人へのインタビューで明らかにしていくというものです。

結論だけ書いてしまいますと、人間はお金を稼いで消費することを目標としないで、以下の6つの事を行うと幸せになれますよ、という話です。

①たくさん遊ぶこと
②毎日1つ、新しいことをすること
③家族や友人といる時間を大切にすること
④意義のあることをすること (自分が意義のあると思っている事をすること)
⑤持っているものに感謝すること
⑥利他的な行動をすること 

 

暴走する文明

内容:巨大企業が世界中の環境と生活を破壊している

評価:★★☆☆☆

暴走する文明 (字幕版)
 

巨大企業が利益のために環境を破壊したり、弱者を搾取しながら膨れ上がっているというありきたりなテーマです。

しかも、ストーリーに1本の軸があるというわけではなく、オムニバス形式で進んでいくので、話がぶつ切りに感じてしまい、頭に入ってきません。

使われている映像は高画質で綺麗なのですが、「ドキュメンタリーが見たい人はそういうところを見たいわけじゃない!」というツボを押さえられていません。

調査している情報に誤りはありませんが、同じテーマを扱っている作品なら「キャピタリズム」や「ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~」などを見たほうがいいでしょう。

 

マジックマネー

内容:仮想通貨のシステムを丁寧に説明する

評価:★☆☆☆☆

 

マジックマネー

マジックマネー

 

 今話題となっている仮想通貨のビットコインのシステムや安全性についてわかりやすく説明している映画です。

ビットコインのプロモーション動画とも言えると思います。

もちろん、ポジティブな側面とネガティブな側面の両方を描いているため、プロモーションではなく、ちゃんとドキュメンタリーになっているんですけれど。

仮想通貨は間違いなくこれまでの金融システムを変える可能性があるのですが、「価値の担保をどこがしているのか」ということについてこの作品では本質にふれていません。

国が発行する紙幣については国が保証していますし、今のビットマネーを支えるのは、ビットマネーの高い安全性と流動性の高さだけです。

もう少し突っ込んだところまで話を踏み込んで欲しかったなという意味で★1です。

 

 やばい経済額

内容:経済学知識のオムニバス形式で披露する

評価:☆☆☆☆☆

https://www.youtube.com/watch?v=eCrqSySdIkAヤバい経済学

 

ヤバい経済学 (字幕版)
 

 見る価値なしです。

「インセンティブ(人の意欲を引き出すために、外部から与える刺激)」を主なテーマにしていますが、とにかく内容がバラバラすぎる。

最初は「家を売る時は少し待った方が得な理由」とかをやっていたのに、気付いたら「インセンティブを与えることで、子供の学力は上がるのか?」とかになっているし、一貫性がありません。

しかも、出て来る知識や内容は一般的に考えればわかるレベルの教養に留まっています。やっぱり見る価値なし。 

 

終わりに

Factory Theatre

ここ1ヶ月で見返した作品なので、評価に関してはかなりフラットだと思います。

とにかく★5の作品に関してはハズレはないと思うので、オススメします。

しかし・・・こうやって見ると反資本主義的映画が目立ちます。

決してそんなことはないのですが、どの映画も問題の本質はただ一つ、利益主義だと言っているような気がしてなりません。

人間はITを発明し、自分たちが管理されるようになった

世界人口の推移って、見たことあるでしょうか。

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人類が誕生してから1950年代までの総人口数は今の人口と比較すれば微々たるものだということがわかります。

人口の増加とは、世界の豊かさを表すものであり、間違いなく世界は豊かになっているんです。

しかし、今のような豊かさと繁栄は、これまで人間が味わったことのない領域であることを、我々は感じながら生きていかなければなりません

 

このグラフでは人口増加のターニングポイントについて記載がありませんが、1950年を境に世界での人口が増加しています。

 

要因は2つあります。

①1950年代以降に世界の工業化が進んでいった。

第二次世界大戦以後、長期的に世界を巻き込む戦争が起こっていない。

 

①の工業化の発展については、いくつか議論の余地があります。

工業化の発展とはいうものの、鉄道や一部繊維企業などはすでに1800年代より導入されています。

世界初の鉄道は、1804年にイギリスで発明・開業された蒸気機関車になります。

いわゆるインフラの産業を中心として、機械が1800年代に生まれ、そして1900年台に本格的普及していったという歴史があります。

D51

 

世界の生産工場で、機械を使用した生産が行われ始めたのも、ヨーロッパの産業革命以後、1800年代中盤から1900年台にかけてであり、先程のグラフの急激な増加が見られた1950年という数字とは乖離があるわけです。

これは、一部の大型生産工場のみで導入されていた機械による高効率化メソッドが企業だけでなく、家庭に進出してきたというタイミングを意味しています。

Day 120

効率化された生活

1950年台以降、一般家庭向けの生活効率化アイテムが世界中で爆発的に普及します。

冷蔵庫・洗濯機・掃除機・車などなど。

Threesome

これらの生活家電は人々に生活に潤いとゆとりを与え、人口増加に大きく寄与しました。

人間は1950年代を境に、これまで生きるために払ってきた労働のコストを大きく下げることに成功したのです。

余った時間は労働や教育に充てられ、その結果として科学や電子技術を中心として、著しい発展を遂げてきました。

つまり、20世紀前半までは「企業(製造業)に対する機械化の時代」だったのが、1950年代を境に、「家庭に対する機械化の時代」に突入したのです。 

IT技術の発展により、管理社会をもたらした21世紀

そして21世紀になるとIT技術が普及し始めます。

厳密には、コンピュータ技術は1980年代ごろより、製造業やインフラ企業では導入されていたシステムですが、一般にまで本格的に普及していったのはちょうど2000年頃からです。

Computer

紀元前は、文明が発展・普及していくまでに何百年という時間がかかりました。

そして、ヨーロッパの産業革命も完成し、普及していくまでに100年の時間を要したのに、今は最先端技術が普及するまでに20年しかかからないのです。

まず、それだけでも恐ろしいことですね。

 

そしてこのIT技術の発展は、人々に新しい2つのコスト効率化をもたらします。

①情報入手するためのコストと時間を効率化し、情報という価値を増大化させた。

安価に「管理」する方法を人々に与えた

 

①はインフラとしてのIT技術の進歩のポジティブな側面です。

人々に情報入手の効率化を促し、労働だけでなく教育や日常のコミュニケーション全てを効率化させて人々の生活を豊かなものに変えました。

これは、人々に「距離」という概念を限りなく小さなものへと変えました。

 

しかし、②の安価に管理する方法が、人々に悪影響を与えます。

これまで、人々の生産性を図るときは、作業をする人とそれを管理・監督する人の2人が必要でした。

そもそも、人やモノを管理するということに相応のコストを払っていたし、特に人の労働生産性に関しては一部の製造業を除いて良し悪しの管理は、監督者の主観に基づくものでした。

この点に長けていたのが日本のトヨタ自動車を始めとした製造業で、トヨタ自動車が世界に誇る高品質・低価格のキモは、徹底した管理だったわけです。

ムリ・ムダ・ムラをなくし、標準作業を遵守させて管理するシステムを作ったことで、結果として1990年代までは他の類を見ないほど高効率化された大企業でした。

 

しかし、21世紀の今は、僕らのちょっとした食生活すらスマホが管理してくれるような世界です。

これまで「食を記録する」「運動を記録する」といった日常的な行動を始め、「サービス業のような労働性を管理する」といったことは、それ相応のコストを支払って行ってきたものでした。

今はその管理するためのコストは、IT技術を基準として恐ろしいほどに下がっているんです。 

人が完全に機械のようになる

21世紀に入り、情報収集のためのコストが大きく下がったことから、労働環境において人々の行動を管理するという方法が広まり始めます。

例えば、日本の精密機器販売を行うキーエンスという会社は、従業員の1日の行動を分単位で管理していることで有名です。

これはスマホなどの普及により、分単位で管理する事ができるほどに情報入手のコストが下がったからこそなせるワザとも言えます。

同社は高効率化企業として、平均収入が国内企業の中でNo.1であることでも有名です。

 

つまり、2000年以後の企業は、人を管理して、人の行動のムダを無くして働いていくことで企業は収益性はまだまだ上げられるということに気付きつつあるのです。

これは、 良い側面がある反面、人間らしい働き方を労働の現場から遠ざけることにもつながっています。

キーエンスは給料が良い反面、厳しい労働環境から離職率が高いことでも有名です。

つまり、管理と働きやすさとは本来は反比例する関係になります。

 

今のままでは、「労働者はとにかく高効率で1秒も喋ることなく、機械のように働き続ける事が理想である。」と、そんな世の中になってしまいがちだと言えます。

まるで企業はロボットを求めているようですね。

Robot

Googleに見るIT技術との向き合い方

一方で最先端企業として有名なGoogleはIT技術との向き合い方が違います。

あくまで、IT技術は「労働者が働きやすいように活用されるべきもの」として定義しています。

Skypeなどが発達したからこそ、在宅勤務で良いじゃないか。無駄な連絡方法に時間とコストをかけるぐらいなら、チャットウォークやGoogleハングアウトのような連絡方法で良いじゃないか。

 

このように最先端のシステムを利用して、人がより生産的に、能動的に働くことができるようにIT技術を活用しています。

Googleは従業員個々人が解決したい課題を発見し、自らプロジェクトを推進していく事を推奨しています。

そのため、日本のように誰でもできるような仕事に対して高いコストは払わないし、やって意味がないと思うようなことには、誰も手を出さないのです。

そもそも個々人がプロジェクトマネージャーなのです。

これが本来IT化することで生じるメリットであり、これからの目標とすべき働き方です。

今自分がしている仕事が「誰にでもできること」であることや、「自分がやるべきだと感じない仕事」であること、「同じことを効率的にやることを目的とされていること」はこれからの時代に取り残されていくであろう仕事になってしまいます。

22世紀は効率化の時代 〜工場化される世界〜

これだけ情報インフラが発展してしまった今では、更なる管理社会は免れられないでしょう。

しかし、情報技術に管理されるのではなく、自分がしたいことに時間を割くための労働コストを下げるためにIT技術は活用されるべきです。

これからの時代、もっと多くの労働が工場のような高効率化労働を強いられることとなります。

これからのキーワードは間違いなく「高効率化社会」や「高稼働率化社会」なのです。

 

その中で、高稼働率・高効率を求められない仕事があります。

それは芸術や音楽といったアーティストと呼ばれていたジャンルです。

 

今はWebの発信力もあり、誰もがアーティストやクリエイターになれる時代です。

だからこそ、今自分ができることから発信してアーティストやクリエイターになる準備をしていかないと、グローバリゼーションも相まって「誰でもできる仕事を高効率化してやる人」になってしまいます。

 

これからの働き方は、経営者・アーティスト&クリエイター・高稼働率社員の3つに別れるでしょう。

そして、高稼働率社員は誰にでも置き換わりが簡単にできるようになってしまうからこそ、賃金は下がり、経営者>アーティスト&クリエイター>高稼働率社員という層が出来上がります。

 

これからの働き方で重要なのは、必要以上の効率化を求められない仕事であり、今後はそのような働き方に価値が集中するでしょう。

Robot

日本はアメリカではなく、ユーロを目指すべきだという話

昨日、マイケル・ムーア監督作品の、「マイケル・ムーアの世界侵略のススメ」という映画を見ました。

マイケル・ムーア監督といえば、華氏911やボーリング・フォー・コロンバインなどで知られるドキュメンタリー監督です。

今回マイケル・ムーア監督が扱ったテーマは、アメリカで蔓延する様々な欺瞞を諸外国の政治情勢と比較することで、暴いていくという作品です。

 

たとえば・・・。

 

①沢山働かないと生産性は上がらない?

イタリアには8週間も有給があり、毎日2時間も昼休みがあり、週の労働時間は36時間しかないのに、労働生産性GDP)は日本と変わらない
それはストレスなく働けるから、働いている時間の生産性が高いから。

 

②学校教育は沢山詰め込まないと意味がない?

フィンランドでは、学校教育は無料。
 全て公立の学校で成り立っており、宿題などは出されない。
 学校で学ぶ時間も少なく、芸術や音楽などに触れる科目が多く、数学などの時間は少ないのに教育の高さはNo.1
 多くの国民が母国語だけでなく、多言語を話せ、理系的知識も豊富。
 それは、子供たちが普段の遊びの中から、自然と様々なことを学んでいくから。

 

③犯罪は厳しく取り締まらないとなくならない?

ノルウェー死刑はなく、最大懲役年数は21年なのに、年間殺人発生件数が数件程度の超低犯罪率。世界一の再犯率の低さ
 それは世界一恵まれていると言われる環境の刑務所で、慈悲と支え合いの心を再学習してから出所するから。

 

④世界の表舞台には男性ばかりだけど、女性が台頭する国はダメ?

アイスランドには、完全な男女平等が実現されており、世界初の女性大統領が誕生している。男女平等になってからのほうが企業体質が向上され、国内の政治・経済も順当になり、黒字化
 それは、人間のあるべきまま、男性と女性の権限をイコールにしたから。

 

などなど・・・、驚きの実態を暴いていくという映画です。

America

映画を見るとわかる!日本の目指している先はアメリカだと!

この映画を見て驚いたのは、日本で生活をしている間に触れる情報が、ほとんどアメリカナイズされ、アメリカのような働き方・先進国化を目指していることです。

税金を上げることは悪いこととされ、その結果として公共の福祉が充実していくことに対して懸念を示すマスメディア&民衆。

累進課税の緩和・相続税などの緩和によって富裕層と労働者層の働き方・所得に大きな差が生じつつある労働現場。

これらは、全てアメリカで起きていたことを、日本でもまた起こそうとしているだけのように感じます。

 

上記①〜④のように、国を豊かにする本当の政策は、ほぼ全てユーロ圏で起きていることです。

ユーロ圏はアメリカとは違い、「福祉国家」を目指しています。

 

アメリカは低税金のため、一部の富裕層にとっては莫大な資産を稼げるという意味でアメリカンドリームという言葉もあるぐらい、個人主義の国です。

一方で、ユーロは支え合いの国ともよばれ、国によっては消費税ですら20%以上の税金がかかることは珍しくありません。

国にもよりますが所得税に関しては、もっとかかってくるでしょう。

その代わり、誰もが安心して教育を受けられ、飢えることもなく、満足した生活を贈ることに税金は使われています。

 

高税率で福祉国家を目指しているこれらの国のほうが、結果として安全で、高い教育を得られ、高生産性になった結果、余暇を楽しむことができているというのが世界の現状なのです。

実際に筆者はこれまで、イギリス・フランス・スペイン・ベルギー・オランダなどに行った事がありますが、どの国でも日本よりも豊かそうでした。(長期滞在した国もありますが、実際豊かでした。)

スペインなどは失業率が高いと言われているのに、日本より豊かそうな暮らしをしていますし、そもそも楽しそうに生きています。

 

一方で、日本は未だに消費税ですら8%。

消費税に関しては直接税なので、より慎重に増税は検討しなければならないかもしれませんが、それにしても見直しが行われていないと思われるのが所得税などの直接税。

そして何より、法人格(企業)から税金をもっと徴収しなければ、企業の利権争いを止めることはできません。

 

今後は格差の是正を促すため、さらに直接税を高税率化、そして法人税率の見直しを行い、格差の是正を促すべきでしょう。

Tax

人々が豊かになる鍵は、性善説で生きること

日本が目指す先は上記のようなユーロ圏を目標とするならば、社会保険の充実と、直接税と資本・資産に対する課税率の増税だと言えるでしょう。

しかし、世の中には行き過ぎた再分配が経済成長にはマイナスに働くという意見もあり、逆に適切な再配分は経済成長を高めるという意見もあります。

ベーシックインカムを導入する際にも同じような議論がなされます。

 

しかし、よく考えてみれば、ユーロ圏の成功事例は全て「人間には、安全に暮らせる環境と、慈愛の心を持って接することができる条件を揃えれば、自ずと学習して社会的な行動を取るようになる」という例ばかりではないでしょうか。

そもそも、人間は安全に暮らせるという社会的基盤があれば、マズローの欲求5段階説に基づいても、自己実現のために何か利他的なことや、社会的な活動を始めるものだとも言えます。

人間は怠惰なものでなく、余裕と安心を与えれば、その2点を糧にして世界をより豊かにしていくことができる力を持っているのです。

Euro!!

衣食住足りて礼節を知る

今の日本が考えるべきはこの部分で、まず全員に「衣食住足りて礼節を知る」という状態が作れているのでしょうか

また、人生を有意義なものにするだけの余暇が与えられているのでしょうか。

 

イタリア人は1日7時間しか働かないし、年間8週間もバカンスがあります。→それでも日本と同じGDP成長率です。

フィンランドの学校では詰め込み教育なんてやりません → それでも日本より学力は高いんです。

ドイツなども1日7時間しか働きません → それでも、日本よりはるかに高生産性です。

 

働きすぎなくても人々が豊かに暮らせるだけの富が、すでにこの世界にはあります。

一人ひとりが適切なだけ働けば、その結果としてQOLは上がり、医療費は下がり、税率は今のままでも社会福祉に回せる余裕ができ、生活費に困らないから子供が生まれて税率を変えずに国家が維持できる。

こんな当たり前の循環を、ユーロ圏は実現しています。

 

日本人には「村意識」という言葉がありました。

誰よりも強いと自負していた日本人としての繋がりがあったと思います。

日本人は優しく、支え合いの意識が強いと学んで育ったはずです。

しかし、今の日本ではその慈悲の心は失われ、一部の企業や投資家がその富を牛耳ろうとしています。

それはまるでアメリカのように。

本来のあるべき姿とは、お金は循環であり、自分だけでなく他人にも分け与えるものであるという思想をもう一度思い返さないといけません。

 

世界が変わっていく中で、アメリカ、そしてアメリカを追うように自由主義をひた走る日本だけがもう何十年も遅れを取っているような現状に気づかせてくれる映画でした。

日本は福祉国家を目指すべきだと考えています。

日本に蔓延する「うつ病」の正体を数字で読み解く

今日は「うつ病」がテーマです。

いまさら「うつ病とは何か?」という話をするつもりはないので、簡単に説明をすると、誰にでもなる可能性があって、気分が沈んで体調が悪くなり、日常生活を送るのが困難になるというあの心の病気です。

 

本日、「ツレがうつになりまして。」という作品を読み、映画まで見たのですが、やはりどうしてもこのような本がベストセラーになっている国というのは、「どこかおかしい」と思うわけです。

ツレがうつになりまして。 (幻冬舎文庫)

ツレがうつになりまして。 (幻冬舎文庫)

 

 私も学生時代に心理学を専攻しており、多数の学会発表経験があるとともに、認定心理士という日本心理学会の発行する資格も持っております。

後にうつ病は増加傾向にあるという話をしますが、今回はうつ病を一個人の問題と捉えるのではなく、社会学的な要因があるという仮説のもと、データからその仮説を検証してみたいと思います。

 

世界中で増加するうつ病

現在、日本のみならず世界中でうつ病が進行しており、世界保健機構(WHO)も対応を呼びかけているほどです。

なお、通常の場合、精神病の定義はアメリカ精神医学会発行する「DSM精神障害の統計と診断マニュアル)」とよばれる本によって明確に条件が規定されています。

そのため、各国による独自のうつ病判断基準の結果、人数が増加傾向にあるといったことはないと仮定します。

 

また、2012年にWHOは世界のうつ病発症率マップも作成しています。

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見ておわかり頂けるように、これでも日本のうつ病発症率は低いんです。

また、意外にも高所得な国ほど発症率は低く、低所得な国の方が発症率が高いことがわかります。

 

しかし、日本人の鬱病のうち、3/4は受診していないという報告もあります。

同じ2012年にWHOは世界の自殺率マップも作成していますが、こちらでは、日本とロシアが真っ赤になっています。

つまり、「日本はうつ病患者の数は少ないけれど、自殺者数は多い」という変わった状態にあることがわかります。

(2012年の情報のため、過去にそのような状態にあったというのが適切かもしれません。)

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しかし、上記2つのグラフを見比べると、基本的にはうつ病の発症率が高い国ほど、自殺者数は少ないんです。

これは仮説ですが、アメリカ・欧州・日本のような先進国になると「うつ病」のような精神障害の既往歴があると、再就職が難しくなるため、病院に通院せずにひたすら耐えている人が多いのでしょう。

そして、いつかその耐えきることに我慢ができなくなってしまった時に自殺をしてしまう。

 

診断をされると社会的信用が落ちるから病院に受診できない→治療を飛び越えて自殺してしまうという状態です。

 

とにかく、世界は今、2005年から2015年間の10年間で、約18%もうつ病の患者数が増加傾向にあるということは確かな事実なんです。

 

日本のうつ病の現状

世界まで飛び出してしまうと話が拡散するので、一度日本のうつ病患者数を見てみましょう。

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厚生労働省の調査で、1984年(昭和59)から、2011年(平成23)までのうつ病患者数の推移です。

1999年〜2002(平成14)にかけて急増していることがわかります。

 

よく、うつ病の原因は「長時間労働によるストレス」だと言われますが、まずはこの結論が誤りだということから検証します。

下記が1980年から2012年までの平均労働時間の推移です。

30年間で、1年あたりの339時間も減少している事がわかります。

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また、日本のみならずドイツなどでも平均労働時間は減少しており、増加している国はほとんどありません。

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つまり、労働時間は減少しているのに、うつ病数は増加しているというのが日本の現状です

そして、労働時間は変化していないのに、うつ病の数は増加しているというのが世界の現状です。

労働時間による影響について完全に否定することはできないかもしれませんが、少なくとも「うつ病の主要因は労働時間ではない」ということは明らかです。

 

日本のうつ病増加は、○○が握っている!?

ここで一つのグラフを御覧ください。

これは1982年〜2012年までの日本の平均年収の推移です。

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このグラフを見てわかるように、これまで上昇していた平均年収が1998年ごろを起点として、減少しているんです。

私が提唱したいのは、うつ病の要因の一つに年収の「増加率」が関係あるのではないかということです。

 

そして、平均年収の下落に追従するように、日本の消費者物価指数も1998年頃を起点として上昇が収まってしまっています。

(この指数は日本の実質経済成長率を表しているとも言えます)

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これが何を意味するかというと、日本の経済の停滞が如実にマイナスになってしまったのは、1998年から1999年以降ということです。

 

この年収の下落と、消費者物価指数の下落がおきたタイミングは、日本のうつ病発症者数が増えたタイミングと一致するんです。

では、1998〜1999年に日本では何が起きたのでしょうか。

 

1998年を起点に変わる日本

要因①:非正規労働者の雇用拡大

日本の非正規労働者が増加したというのが大きな要因の一つです。

まずは、日本の労働環境の変化について調べてみましょう。

労働者数の推移をみると、1980年代(第2次オイルショック後)から雇用者に占める非正規雇用の比率は少しずつ増加し、1990年に初めて20%を超えた。以降は、ほぼ横這いで推移していたが、1990年代後半(アジア金融危機後)になると増加傾向が著しくなり、1999年に25%、2003年に30%、世界金融危機後の、2011年に35%を超え、2013年には過去最高の36.7%を記録している[18]。また、若年層の非正規雇用率については、学生を除いた15-24歳で32.3%、25-34歳で27.4%であり、全体と比較すると低いものの上昇傾向にある[20]。  by wikipediaより

アジア金融危機後に日本が非正規雇用を拡大していき、2013年まで猛烈な勢いで増加している事がわかります。

これが年収の低下に繋がっていることは間違いありません。

また、正規雇用を望む人でも非正規労働しか働き先がないため、安定した生活が望めないということも精神的負担になり、うつ病の増加につながっていると考えられます。

 

要因②:インターネットの普及

1998年に起きた大きな変化といえば、インターネットの個人普及率の増加です。

Windows98が誕生し、各個人の家にインターネットとコンピュータが普及していきました。

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このインターネットの普及によって、仕事は効率化され、同時に情報が急速な広がりをみせるようになります。

人とのコミュニケーションはインターネット(文字ベース)に切り替わり、仕事はコンピュータを用いて効率的であることが求められるようになります。

 

また、インターネットの急速な普及によって、mixiなどを始めとしたSNSが日本でも普及するようになります。

現在でもFacebookTwitterなどがありますが、これらのSNSうつ病を誘発させることがあるという研究結果は枚挙に暇がありません。

 以上のように、雇用形態の変化(非正規雇用の増加)によって、「たとえ正社員であっても、再就職の際には非正規雇用になってしまうのではないか。」という不安が常に付きまとうことになってしまう。

非正規雇用労働者は「いつ切られてしまうのか」という不安のもとで仕事をしなければならなくなる。

そして、年収はどんどん下がり、物価を下げざるを得ないから、企業の収益も下がり、翌年はさらに年収を下げないといけない・・・という負のループが1998年以降に襲いました。

 

1998年以降に日本のうつ病数は増加しましたが、それ以上に、日本の自殺者数は1998年以降3万人を超え続けています。 

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自殺者統計|自殺対策支援センターライフリンク

 

人間が病気も発症せずに自殺をすることは考えにくいため、実際は「隠れうつ病」が蔓延し始めたと考えるのが妥当でしょう。

そして、病院に行かない理由は、先にも述べたように診断をされると社会的信用が落ちるから病院に受診できない→治療を飛び越えて自殺してしまうであると考えられます。

 

まとめ

これまで述べた事をまとめましょう。

 

①世界のうつ病発症者数は増加傾向にある。

うつ病の経済的に豊かでない国のほうがうつ病の発症確率が高い

③日本のうつ病発症者数は少ないが、自殺者数は多い。(受診しない隠れうつが多い可能性が高い。)

うつ病の発症は、労働時間が要因ではない

⑤年収が減り、物価指数が下落するとうつ病は増加する

⑤日本の場合、経済成長が明確に止まった1998年をターニングポイントに、うつ病と自殺が増加している。

 

結論 〜僕はうつ病を「希望喪失病」と名付ける〜

筆者は冒頭で、「うつ病を一個人の問題と捉えるのではなく、社会学的な要因があるという仮説のもと、データからその仮説を検証してみたいと思います。」と述べました。

この仮説に対して、日本におけるうつ病の増加は日本の環境要因の変化に対して、人間が受動的に行った適応行動であると考えています。

 

つまり、今の日本人は効率化を求められて、インターネットで常にひと目に晒されて、会社では強いプレッシャーのもとで仕事をし、いつ非正規労働者になってしまうか、いつ会社からリストラされてしまうかといった不安を持ちながら仕事をし、それでも経済的に豊かになれないという現状に対して、「うつ病」という症状が出ていると考えるべきではないでしょうか。

 

僕はこの「うつ病」を、「希望喪失病」と名付けます。

1980年と比較して、物質的に豊かだったのは今のはずです。

しかし、うつ病も、自殺者数も多いのは今です。

人間は「今日より明日豊かになるから」という希望をもって生きていけるのであれば、年収などとは異なって前向きに生きていけるのです。

しかし、今日より明日が豊かにならない未来があり、「努力が報われないのではないか」、「今以上に環境が良くなることはないのではないか」と思ってしまうと、途端にその適応反応としてうつ病を発症してしまう可能性が高いと言えます。

 

人間にとって大切なのは、明日に希望を持って生きていけることであり、今日より明日の方が豊かになれる希望を多くの人に与えなければならないということです。

...Hope...

 

今回は身近な日本でのうつ病をテーマにしましたが、世界中で増加している背景にも同様の傾向が見て取れるはずです。

 

最後に・・・。

本当は皆、今日よりも明日のほうが豊かになるはずなんですよ。

だって、世界の名目GDPはこんなに成長しているんですから。

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こんなに成長しているはずの世界に、どうして希望を失うような人々がいるのでしょうか。

 

その原因は、きっと下記に書いたシステムのせいだと、僕は思っています。 

sora tob sakanaというアイドルがヤバい

やばい。まじやばい。 アイドルにハマりそう。

sora tob sakanaというアイドルが反則・・・っていうか、飛びワザ使ってきてるんですもん。

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2014年から活動している、いわゆるサブカル系アイドルで、売りはその楽曲の素晴らしさ・・・というか・・・濃さ!

どんな曲なのかって言うとこんな曲。

まぁとりあえず聴いて下さいな。

 いわゆるポストロックというジャンルで、一辺倒化したポップ・ロックに対するアンチテーゼのようなジャンルで、ボーカルの歌いやすさなんて無視!

演奏のしやすさなんて無視! 変拍子上等! 

 

そんなジャンルの楽曲をバシッ!と仕上げておきながら、歌うのは女子中高生というこのギャップ。

20代〜30代のかつてバンドをやっていたサブカル系男子に刺さらないはずがありません!

かく言う筆者も、10代から20代前半までポストロック・オルタイネイティブバンドをやっていたので、「最近絶滅しつつあるジャンルだなー」なんていうところに、アイドルをぶち込んで、「いいから俺らの音楽聞けよ!」と荒業を決めてきたことに驚きを隠さずにはいられません。

 

そして何より凄いのが、アイドルのPVだって言うのに、アイドルの顔は一切でない全編手書きの芸術的映像作品というこのヤバさっぷり・・・!

 

もちろん笑顔が出ているPVもありますけれどね!

 

多様化するアイドルの中で、ここまで歌っているアイドルに興味がわかないアイドルがいたでしょうか!?(失礼極まりない)

でも、アイドルの声が無くても十分に輝けるバンドサウンドを持ちながら、それをアイドルに歌わせるということにsora tob sakanaの魅力があるんです。

 

sora tob sakanaというアイドルを仕掛ける照井順政氏とは?

sora tob sakanaの音楽プロデューサーは照井順政氏という方です。

照井氏は、残響レコードという国内大手ポストロック・オルタイネイティブロック系のレーベルより、ハイスイノナサというグループで活躍しているアーティストです。

 


いや、そりゃかっこいいわけですわ。

残響レコードというレーベルは知らない方が多いかもしれませんが、te'や、mudy on the 昨晩や、かつては9mm Parabellum Barrettが所属していたレーベルです。

日本のみならず、海外にコアなファンを多く持ち、海外などでのライブも積極的に行っているちょっと変わったレーベルなのですが、とにかくここに所属するアーティストは天才が多いんです。

 

sora tob sakanaの所属レーベルは残響レコードではありませんが、音楽性が残響レコード譲りとくれば、そりゃ売れない・・・というか、コアなファンがつかないわけがありません!

Band practise.

 

売り方間違ってるよ!照井順政さん!

2014年に活動を開始して、現在で3年目。

Twitterのフォロワー数は8000人を超えており、ほぼ土日は全てライブをして精力的に活動しているようですが、まだメディアへの露出はあまりないようです。

ただ、今後盛り上がる確率100%のため、要チェックなのは間違いないのですが、恐らく日本よりsora tob sakanaは海外の方が受けると思うんです。

 

要素①:日本のポストロックは世界的に見ても珍しい音作り

→日本のポストロックの繊細で、破綻のないギリギリのラインまで音を重ねる作り方は、世界中の似通った音楽を聴いても同じものが聞けないほどに珍しいものです。

 

要素②:アイドルという文化は世界的にみて珍しい(Kawaii

→ご存知、アイドルという文化は日本特有のものです。

そして、アイドルのKawaiiというのはもはや世界的なものになっており、きゃりーぱみゅぱみゅPerfumeなどは世界で活躍しています。

音楽性のしっかりしたアイドルは世界中で受けることはこれまで証明されています。

 

以上の2点から、どうやっても日本独特のポストロックでアイドルをやっているsora tob sakanaは海外に対して露出を行ったほうが、起爆剤として効果があるように思うんです。

特に日本の文化に対して強い関心があるフランスや、ポストロック系の音楽シーンが開かれているイギリス・フィンランドノルウェーなど。

 

ただ、これらの国々に売り込みをかけるのなら、歌詞は日本語でなく、英語にした方が圧倒的に売れるでしょう。

少女たちの可愛くて、線の細い声で、英語の歌詞を歌いながら、技巧派のバンドサウンドがバックを作れば、日本の音楽シーンにも逆輸入という形で取り入れる可能性は大いにあります。

というより、こんなにいいアーティストが眠っている日本は、本当にもったいない・・・!

 

SoundCloudで無料で聞けるsora tob sakana

sora tob sakanaいいなーと思っても、なかなか楽曲購入には踏み切れないもの。

そこで、Sound Cloudには彼女達のページがあり、そこで無料で何曲か聴けるんです!

 

 

 

今後要チェックのsora tob sakana

まずはSound Cloudでガッツリ聴いて、気に入ったらぜひCDを購入してライブに行きましょう!

 

筆者は夏までに一度ライブに行きたいと思います(アイドル初ライブ

「ちょっと今から仕事やめてくる」から見る、今の日本の働き方

「ちょっと今から会社を辞めてくる」を見てきた

本日、近くのイオンの映画が安くなっていたので、前から見たかった映画を見てきました。

※リンク先、Youtube動画から音が流れますのでご注意下さい。

www.choi-yame.jp

 

注意! 以降、映画のネタバレが続きますので、ご注意下さい!

 

 

 

 

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【ストーリー】

ブラック企業に勤めている青山(主人公)が、仕事のストレスから逃げるために自殺を企てたところ、偶然居合わせた小学校の頃の同級生を名乗る「ヤマモト」という人物に助けられる。

ヤマモトはニート(フリーター)をしつつ、日々楽しいことを求めて生きているが、その自由さに青山は魅力を感じる。

ヤマモトはその自殺騒動以降、青山の前に現れては遊びや飲みに誘い、青山は次第に元気を取り戻していく。

しかし、青山がインターネットで見つけたブログを見ていた際、ヤマモトは小学校の同級生でもなく、3年前に自殺をし、ニュースになっていたという記事を見つける。

青山はヤマモトの正体を問いただすことができぬまま日々が流れるが、上司の必要以上の恫喝や、先輩社員からの手柄の横取りなどをされ、再び鬱気味となる。

 

2度目の自殺を考えついた時、青山はヤマモトから「自分の人生は自分と、自分のことを大切に想ってくれる人のためにある」と伝え、疎遠だった家族のもとに一度戻る事を伝える。

青山の母は「生きている限り幸せな事はある、仕事なんていくらだって代わりがある。」と告げ、青山は仕事を辞める決心をする。

 

青山はヤマモトを職場近くの喫茶店に呼び、「ちょっと今から仕事やめてくる」と伝え、実際に仕事をやめる。

ストレスから開放された青山は喜々としてヤマモトの待つ喫茶店に向かうが、すでにヤマモトは消えていた。

 

【以後、映画版オリジナルストーリー】

青山はヤマモトの生まれの地、孤児院を訪れて当時の先生とヤマモトについての話を聞く。

その会話の中で、青山はヤマモトには双子の兄弟がいたことを知る。

3年前に自殺を図ったのはヤマモトの双子の兄であり、彼ら兄弟は2人でバヌアツ共和国で教師・医者として、それぞれ自分たちのように親を失った子供たちに笑顔を届ける仕事をすることが夢だった事を聞く。

 

しかし、ヤマモトは兄を失ったショックから、自分が教師としてバヌアツ共和国に行くという夢があったことを見失い、フリーターをしていた。

そんな時、青山の自殺をしそうな表情を駅の改札で見た時に、双子の兄の顔が重なり、なんとしても助けたいという思いから度々青山の前に姿を表し、青山を元気づけていたようだった。

青山を元気づける中で、自分にも「バヌアツ共和国で教師をする」という夢があったことを取り戻し、ヤマモトはつい先日、青山のように孤児院へ訪れて日本を旅立つ決心をしたことを先生に伝えていた。

 

先生は青山に1枚の写真を渡し、その写真の裏には「お前もバヌアツに来ないか」と書かれたヤマモトからのメッセージを受け取る。

青山もヤマモトを追ってバヌアツに訪れ、都会の喧騒とは全く異なる地で、子供たちのためにボランティアから始める、という人生を2人で選んだ。

Island

 

青山が会社を辞められない理由

この映画、インターネットでの評価を見ると、★3.5/ 5 という厳し目の評価をされていることに気付きます。(Filmarks情報)

しかし、実際に見てみると、なかなかどうして悪くはありません。

評価が下がっている理由は2点あるようです。

 

①原作とエンディングが異なる。

→映画版では青山の退職後、ヤマモトはバヌアツで教師をするが、小説(原作)ではヤマモトは元々臨床心理士で、青山も退職後にヤマモトと同じく心理カウンセラーとして同じ病院に配属になったというエンディングだった。

こちらのほうが現実的で、より「人の心を救いたい」という目的に沿った行動のように感じる読者が多かった。

 

ブラック企業で労働をした事ない人は、青山の労働環境が想像できない。

→青山の労働環境が想像できるか否かで、感情移入できる度合いが異なる。

一度もこのような環境で働いた事がなければ、「辛いならすぐに辞めればいいのに」で、映画を見る必要もなく終わってしまう。

辞めたいけれど、辞めたら更に状況は悪くなるだろうから、今は耐えるしかない」と思う人の状況が理解できない。

今の苦難に立ち向かえなければ、今後再就職先も見つからずにもっと悪くなるだろう。それなら死ぬしかない」という結論になる事を、ほんの少しでも共感できなければならない。

 

以上のように、原作を読んでおらず、ブラック企業(ぎみ)の労働環境で働いたことがある人は、恐らく楽しめるであろう内容でした。

青山は1993年生まれで、まさに失われた20年世代、ゆとり教育世代です。

失われた20年世代は、日本から出ていない限り、経済成長があった事を知らない世代であり、「どれだけ努力をしても今よりも良くなることはない」という、ある種の学習性無気力感のようなモノを根底に持っていると言われています。

また、ゆとり世代ということも相まって、団塊の世代・バブル世代からは「これだから最近の若いものは・・・」と言われ続けてきた世代でもあるため、非常に自尊心が低く、「正社員ですらやっと届いた居場所」と思っている人が本当に多いんです。

Think

 

劇中でも、青山は難航した就職活動の中、やっと見つけた会社であったということを語っています。

このように、どれだけ劣悪な環境であっても、正社員というやっと手に入れた環境だからこそ、「これ以上良い環境は望めそうにない」という排水の陣にも似た思いを持ってしまっていたのです。

Work

 

映画が映し出す、「就職活動」という企業のためのプロパガンダ

日本は青山と同じように、高校・大学卒業後、ほぼ100%の人が就職活動をして、企業の正社員を目指します。

就活の勝ち組と言われる層はCore30のような大手企業に務め、負け組と言われる層はアルバイトを継続したり、非正規雇用となります。

そして、一度企業に正社員として雇われた人は、「そこで何としても勤め上げる」という意識が強くなってしまうのです。

 

劇中でも青山の会社では、そのような意識を強めるために、以下のような「辞めない(逃げない)事を推奨するような社訓」を毎日読み上げさせられます。

このような会社のシステムが、「今の会社(環境)で頑張れないのは、自分がいけないからだ」という負のスパイラルに導くのです。

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しかし、こんなに新卒採用に強いこだわりを持ち、一回目の就職が人生を左右するような決定になってしまっているのは、世界中を見れば日本や韓国ぐらいなのです。

例えばドイツなどでは、大学卒業後、何年か様々な仕事を経験した後、自分に適職だと思える仕事を比較する中から選びます。

そして企業も、自分の適性をある程度の経験の中から判断したと思える人を、何歳でも受け入れる風土ができています。

ドイツだけでなく、アメリカなどでも、1つの企業で勤め上げる人は稀であり、日本のように40年終身雇用という制度はほとんどありません。

 

日本も高度経済成長期は今のような就労スタイルが一般的で、同時に最も効率的であったため、大学生は良い大学に入り、良い企業に入ることが目的でしたが、今は大手企業でもリストラや、年収の大幅な下落がある時代です。

そんな中で、もう一度世界を見回してみると、「インターネットなどを通して自分自身で価値を発信し独立している人が最も効率的」というのが現在の世の中なのに、そんな世の中でも、未だに就活という儀式だけは、行動経済成長期と同じようにできあがっています。

 

インターネットの普及で働き方が多様化し、個人が強くなり、会社という集合体の維持が難しくなってきたのに、未だに勝ち組というあり方は会社員勤めなのです。

だからこそ、日本は未だにブラック企業ですら辞めないで努力をし続ける人がいるんです。

 

この映画を見て考えるべき問題は、「なぜ青山はヤマモトがいなければ仕事を辞めるという選択すらできなかったのか」ということにあります。

そして、これを解決するために考えるべきは、「ブラック企業の労働環境の是正はどうやったらできるのか」ではなく、「新卒一括採用で入った企業以外に人生の選択肢がないように煽る、就活プロパガンダからの洗脳をどう解くのか」にあるように感じました。

 

もっと根本的に考えれば、「ブラック企業に勤めてしまった時に、すぐに辞めて逃げる事ができる選択肢を、今の社会が提供できているのか」ということ。

そして、「今の日本にはアルバイトなどもあるし、逃げても今の日本ではそう簡単に死なないから、あなたは一度休んでもう一度歩みだせばいい」という、考えの自由度を社会全体のシステムとして提供できているのかという問題提起なのです。

 

もちろん、それができていないから、現代の日本では「落ちて這い上がれない社会の中で生きるぐらいなら、死ねばいい」と思ってしまうのです。

down

 

映画版のオリジナリティは青山とヤマモトを更に救済した

原作のファンは映画版を見て失望したことでしょう

原作では、青山が立ち直り、ヤマモトと同じように臨床心理士としてこれから多くの人を救っていくであろうラストに感動したはずです。

しかし映画版では、青山もヤマモトをバヌアツという「どこそれ?」な国で、「お金っていう概念あるの?」ぐらいの文化進度で暮らすことを選択しています。

「どうしてバヌアツ共和国なの?」ということについて納得できなかった人は多かったでしょうし、ついていけなかった人も沢山いたはずです。

Erakor Beach, Efate, Vanuatu, 2 June 2006

 

完全に想像ですが、それは監督が「あなたはこの世界じゃないと生きていけない・・・なんてことはないよ」という事を伝えたかったからだと思います。

原作では話の整合性と、読者への受け入れ安さの点から、日本で青山とヤマモトが新たな一歩を歩むことをストーリーの最後にしました。

 

しかし、心理カウンセラーになった原作版の青山は今までと同じようにもう一度学生から社会人になっただけです。

この設定では、恐らくもっと広い世界に2人が旅立つという映画版のコンセプトとは食い違ってくる部分があったのでしょう。

 

だからこそ、映画版ではヤマモトの設定は臨床心理士ではなくて、元ニート(フリーター)になっていましたし、ラストでは「他に日本人はいないのではないか」という環境に2人を置き去りにし、「どんな環境でも人は生きていける」という事を伝えたかったのだと思います。

 

 

映画版の「ちょっと今から仕事やめてくる」では、原作よりストーリーは荒くなっています。

孤児院を訪れてからのストーリーに沢山の矛盾は残ります。

しかし、原作版より広い世界を、もっと自由度のある生き方を観客に提供したかったのです。

 

僕はいい作品だなと思いました。

今の環境に納得がいかない人、一度でも「辞めたいけれど辞められない、死にたい」と思ったことがある人はみて下さい。

The free flight